土について


2003年新春に、我が家の玄関先の花壇を潰さなくても良いと決まったとき、土の総入れ替えをしたのですが、量もそこそこ必要でしたので某有名メーカーの既成培養土(一般の草花用)を使いました。小さな花壇なのに、部分毎に三回に分け、15キロ〜20キロくらいだった袋で9袋分は入れ替えたと思います。
ただ、この『培養土』というのは適合植物別に合った土で上手く配合はされているのですが、それはあくまでも製造地(関東)主体にブレンドされた平均地ベースでのこと・・・
春には良く育ち、花を咲かせたものの、夏場は一気に弱ってしまった我が家の草花達。
植物栽培用土を考えるとき、「植物に適合した土」を考えると同時に、それ以上に重要な「地域・環境に合った土」を先に重視すべき事と改めて考え直さされました。

京都・大阪という地域、不思議と最近の夏場気温は九州地方とさほど変わらない暑さ、わたしの想像になりますが、これってきっと、アスファルト上を走る車量の多さに関係しているのでは?(東京も最近は夏の気温が凄く高いですものね)・・・
そして更に京都独特の気温形態という物があり有ります。夏の夜に気温が下がりません。盆地型地形のために昔から温度の溜まる土地(夏場は夜9時・10時でも30度は有ります)---夏の日々の平均気温は全国2〜3位!、夜になっても土中温度は下がらないままです。市販の培養土では蒸れちゃう可能性がかなり多いみたいです。特に白っぽいコンクリートやブロックの塀近くは反射も手伝い最悪!

普通、建て売り住宅(注文建築住宅の一部)を買うと、小さな緑の場所が玄関先に設けられて居る場合が多いです。だいたいはそれぞれの建築会社と繋がった造園会社が作るのですが関西方面では殆ど、『真砂土(まさ土)』を主体に庭造りが成されているようです。
この『真砂土』というのは関西から中国地方の山々の花崗岩が風化された土、保肥性に乏しく、水を吸うと固まりやすく、乾燥するとばらけ易いという特徴から、園芸用としては「質が悪い土」とされているため、ホームセンターなどでも置いてあるところは極わずかです。園芸・建材兼用場所に川砂やバラス同様、山積みされていてスコップで掬い量り売り1キロ10円とか20円で売っている程度。
でもこの「質の悪い土」とみなされている土で囲まれた近畿・中国・山陰地方に 樹木や草花・野菜が存在しないかというと決してそうではないし、むしろ京都には銘木産地がかなり有ります。野菜だって大柄の京野菜は野菜の『高級ブランド』。建売住宅の庭には花木が育ち、街の街路樹も育っています。気候風土に適しているからでしょう。

それにこの『真砂土』は腐葉土となじみやすく、なじんでからが真価を発揮する土だと言えそうです。子供の頃に親しんだこの山土は黒みがあり温かくて土いじりをするのが楽しいくらいに素敵な土でした。市販の袋入り園芸用土には無い温かさです。
住宅や街路樹用には日向土・枯木堆肥が混入してあるのですが、堆肥や日向土や鹿沼土との相性もひじょうに良くて混合することにより難点の通気性が改良され関西の風土にあった良い土に成るみたいですネ。(酸性気味の土なのでph調整は必要)
広島の棒建築プロジェクトが真砂土に廃プラスチックを混入したら凄く粘りけのある良質の基礎土壌になり『魔法の土』と称した記事を見たこと有りますが、どんな用土ともなじみやすい園芸用。でも『魔法の土』?

夏を過ぎてから、再び我が家の花壇の土を徐々に入れ替えました。真砂土にピートモス(腐葉土の代わり)、 堆肥を混ぜて、わたしの土地には合わない赤玉土系を抜き去っていきました。
以後、自前で自作の土造りを始めました。この土をベースにして植物別に少し変化を付けています。
ブレンド用として、よく使うのは日向土、桐生砂、富士砂、バーミキュライト、鹿沼土、活性炭、石灰などで、砂系は最初桐生砂を使っていましたが、この袋の中にコガネムシの幼虫が湧いたため、現在は砂を混ぜるときは川砂を使っています。

ちなみに、『サカタのタネ』さんが2005年からブレンド培養土に「暖地用」として赤玉土主体の土から真砂土主体の土に入替えた物を発売開始しました。わたしの見解が間違いでは無かったことが分かり、ちょっと嬉しかったです。
真砂土
真砂土の袋
ピートモス
ピートモスの袋

真砂土から作った土真砂土にピートモスと牛糞堆肥を混ぜて作った土。見るからにフカフカして温かそうで大好きな土になりました。


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